卵巣がん を学ぶサイト 30歳以上の女性は要注意の 卵巣がん の情報を提供します |
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卵巣は子宮の左右に位置する2〜3cmの扁平な楕円形の臓器で、合計2個あります。卵巣には生殖に必要な卵胞が多数蓄えられ卵子になります。卵巣には女性ホルモンを分泌する働きもあります。幼児期や閉経後の卵巣は1.5
cmくらいです。月経がある女性では、卵巣の大きさは周期的に変化し、排卵(月経開始日から数えて2週間目頃)の直前に最大となります。
5〜7%の女性に卵巣腫瘍(できもの)が発生するといわれ、大部分が良性腫瘍ですが、悪性腫瘍(がん)や低悪性度の腫瘍(中間群)もあります。日本で卵巣がんに罹る人や卵巣がんで亡くなる人は年々増加しています。婦人科悪性腫瘍に罹る人の約3割が卵巣がんです。
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卵巣がん(治療)
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卵巣がん(上皮性卵巣がん)は、婦人科がんの中でも最も化学療法(抗がん剤治療)の感受性が高く、その治療は"手術療法と化学療法の組み合わせ"によって形成されることを御理解いただきたい。初診時の進行期(腫瘍の広がり)が重要で、これによって治療法が大きく異なります。 I期卵巣がん(がんは卵巣に限局)では、骨盤内リンパ節、傍大動脈リンパ節の郭清が根治手術となる。手術後は再発予防に化学療法を施行するか否かを検討することとなる。手術だけでよいか再発予防の抗がん剤が必要かは難しい問題であるが、卵巣からがんが全く出ていない状態(腫瘍が皮膜に覆われた状態で、なおかつ他の部位に転移がない)では手術だけでよいと考えられ、それ以外は原則として抗がん剤が必要となる。卵巣がんの手術では、開腹時に腹水細胞診(腹水を採取し、その中に悪性細胞がいるかどうかを判定すること)も行われるが、これが陽性の場合も抗がん剤が行われることが多い。腫瘍が卵巣に限局するのに、なぜこれだけの大がかりな手術が必要かと疑問に思われるかもしれませんが、この手術の切除範囲は卵巣がんが転移をおこしやすい部位で、これら全てに腫瘍がないことが確認されて初めて、"腫瘍は卵巣に限局していた(I期)"といえるのです。
卵巣の温存を計ることもある。卵巣がん(がんは子宮、卵管、直腸、膀胱に広がる)では、I期の根治手術に加えて、がんが広がっている部位を切除することとなる。
子宮、卵管などI期の根治手術の範囲内への進展であれば問題ないが、直腸表面への浸潤するケースも多く、この場合は直腸合併切除が行われる事となる。この手術は人工肛門などにならずに腸管吻合が可能で、後遺症も少ないため当科では積極的に行っている。膀胱側にがんが広がる場合でも、腹膜切除を行う。症例で腫瘍は完全切除が可能である。がんが広がっているため、殆どのケースで術後抗がん剤治療が必要になります。卵巣がん(がんは上腹部またはリンパ節に広がる)の治療は、上腹部にがんが存在している場合と、リンパ節にがんが存在している場合と区別して考えなければならない。
後者は根治手術がなされた場合に切除されたリンパ節に、術後検査の結果がんの存在することがわかった場合が術後抗がん剤治療を再発防止に行えばよい。がんが最初から上腹部にまで広がっている場合は、場合腹腔内全域にがんがあり、この状態は"がん性腹膜炎"あるいは"腹膜播種"とよばれる。試験開腹を行う場合と抗がん剤治療を先行させる場合がある。
試験開腹を行えば、診断が確かに卵巣がんであること、病変の広がりの確認、それに卵巣がんの組織型(どういうタイプの卵巣がんか)を知ることができる。確認は、その後の抗がん剤の選定に影響をあたえる。試験開腹を行わない場合は、上記のことは、画像診断や細胞検査で推測し、治療を開始することとなる。試験開腹を行う欠点は、長い治療の前に、手術という負担を患者の皆様に強いることになる点である。場合は、原則として開腹手術を腹腔内状況及び組織型を確定するようにしている。
抗がん剤治療を行うことが多い。腹腔内に広範囲の転移を認める症例でも、著しい縮小効果が認められ、その結果手術切除が可能な症例が多数経験される。こういった抗がん剤で相当の腫瘍縮小が認めれられる症例ても、抗がん剤は卵巣の遠隔部位ほど効果が大きい傾向があり(大網は例外で腫瘍が残存しやすい)、最終的に卵巣周辺及びダグラス窩(子宮直腸間)付近に腫瘍が残存することが多い。
根治手術と共に直腸合併切除を行うこととなる。直腸合併切除は卵巣がん治療では欠かせない手技となっている。III期卵巣がんの根治手術は化学療法により腫瘍が最も小さくなった時点で行われており、術後に行われる再発予防の抗がん剤を含めると、治療開始から終了まで6-12ヶ月を要することが多い。抗がん剤治療はその期間のみ入院が必用で、上記の期間全てに入院が必要なわけではない。 IV期卵巣がん(がんはリンパ節などの遠隔部位に広がる)では、腹腔内は形式はIII期と根本的には変わらない。
卵巣がん治療をまとめると、I 期、II期では手術で腫瘍の完全摘出を目指し、その後再発のリスクの高いケースで再発予防の抗がん剤治療を行う。
III期、IV期では、"手術療法と組み合わせ"によって治療が行われ、抗がん剤治療により範囲まで腫瘍を縮小させてから手術摘出し、その後再発予防の抗がん剤治療を行うことが原則となる。
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卵巣がんの特徴 |
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卵巣がんには、主として4つの組織型があり、それぞれ抗がん剤の効果が異なるため、あたかも別の疾患のように取り扱われる。漿液性腺がん、類内膜腺がん、明細胞腺がん、粘液性腺がんの4つであるが、前2
者は抗がん剤がよく効き(特に漿液性腺がん)、後2
者は抗がん剤が効きにくい。使用される抗がん剤もこれらの組織型によって決定される場合が多い。頻度的には、漿液性腺がん、明細胞腺がん、類内膜腺がん、粘液性腺がんの順とされるが、近年の当科の集計では、明細胞腺がんが急増しており、最も多い組織型となっている。 卵巣がんの組織型に関して最も重要なことは、抗がん剤のよく効くタイプでは拡大手術を施行しなくても、その後の治療を抗がん剤に期待できるということである。逆に、抗がん剤が効きにくいタイプでは、手術の機会に可能な限りの完全切除が必要となる。このように、治療形態までもが異なってくるため、卵巣がんの組織型の決定は重用な事項となっている。
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卵巣がんと腫瘍マーカー |
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卵巣がん治療と切っても切れない関係に、腫瘍マーカーの存在がある。腫瘍マーカーとは、"がんの人に高くて、正常の人で低い血液中の物質"のことである。採血で測定することができる。がんの種類によって、測定する腫瘍マーカーも異なることが多く、卵巣がんの場合は通常CA125
が最も重要で、CA19-9も有用な場合も多い。これらの臨床的な使い道としては、1)卵巣が腫れている場合に、良性腫瘍か悪性腫瘍かの判定(治療前)、2)長期間治療中における治療効果の判定もしくは病勢の把握(治療中)、3)再発の有無の判定(治療後)、がある。このように、腫瘍マーカーは卵巣がん治療の全ての過程において頻用されている。特に、III-IV期卵巣がんの長期治療中は、CA125の値がほぼ正確に病状を数値で反映することが多く、モニターとしての役割を果している。 |
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